ウガンダによりみち。

人生の寄り道でウガンダの村に来ました。新しい発見があるといいな。

ニュースから考えるウガンダ。卒業試験受験者数から見るウガンダ教育の実情。

今月頭(2017/8/3)にこんなニュースをみました。

www.newvision.co.ug

「UNEBの受験登録者数100万人を超える」

※UNEB…Uganda National Examinations Boardの略。UNEBについてはもうちょっと先で説明しています。

 

このニュースの見出しを見て、

 

えっ 100万人って少なくない?

 

って直観的に思いました。そこで本当に少ないのかどうなのか調べて考えてみました。 

はじめに:ウガンダの教育システムの概要

ウガンダの教育システムでは、小中高が7・4・2制です。(小学校は6歳からです。)

そして卒業するためには卒業試験(国家試験)に受からないといけません。試験に落ちた場合は落第して勉強し直すか、ドロップアウトすることになります。

 

イメージはこんな感じ。

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小学校卒業試験 PLE = Primary Leaving Examinations
中学校(O Level)卒業試験 UCE = Uganda Certificate of Education
高校(A Level)卒業試験 UACE = Uganda Advanced Certificate of Education

 

そして、これらの国家試験を作成している機関が、ウガンダ国家試験委員会 UNEBです。

 

つまり、「UNEBの受験者数100万人」というのは、小中高の卒業試験の受験登録者が100万人ということです。

 

ニュースを見て思ったこと

ウガンダは子どもの数が多いはず…

小中高合わせて100万人って少なくない?

日本のセンター試験の受験者が50万人とかだった気がする

 

と思いました。そこで100万人ってどういう値なのか、実際に調べてみました。(自分にとって分かりやすいように日本のデータと比べてみました。)

 

ちなみに2016年度の日本のセンター試験の出願者数は 531,880人だったらしいです。

比べてみた

ウガンダと日本の人口ピラミッド

まずはウガンダと日本の人口分布を調べました。

 

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 ウガンダは人口増加率が3.3%(2015年)で世界第6位となっており、子どもがたくさん生まれてどんどん人口が増えていっている国です。

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出典:http://www.populationpyramid.net/

 

ご覧の通り、ウガンダはピラミッド型。日本は壺型

ウガンダも日本も社会の時間に出てきた典型的な形ですね。

 

一見、ウガンダは日本より子どもの数が多いかのように見えます。

でも総人口はまだ日本の方が多い。

なので、19歳以下の両国の人数を出してみました。

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やっぱりウガンダの方が子どもの数(合計)が多かった。でも15-19歳を見ると、日本の方が多いですね(びっくり)。

 

では、

UNEB(卒業試験)の受験者が100万人ってどういうことなのでしょう。

多いの?少ないの?妥当なの?

学校卒業人数

ニュース記事に乗っていたウガンダのUNEB受験者数と(年度がひとつずれますが)日本の小中高の卒業者数(2016年3月卒業)とを比べてみました。

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参照:文部科学統計要覧(平成28年版)http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/002b/1368900.htm

※小学校の卒業人数は6年生の人数を書いています。

 

結果:圧倒的に少ない!

順調にいけば学校を卒業する年齢(10-19歳)の人口はウガンダも日本も大きく差はありません。が、ウガンダで今年、実際に卒業をする可能性がある人数は、これだけしかいないんです。

UNEBの受験者が全員合格したとしても100万人ちょっと。日本は就学率100%と言われる小学校だけで卒業者が100万人を超えています。

 

学校の卒業試験を受ける段階まで到達できる子たちがこれだけ少ないということです。

 

学費が払えず学校に通えない子

学校によっては、進級にハードルを設けているところもあり、進級できなかった子

妊娠してしまって学校に通えなくなった子

などいろんな事情と理由があると思います。

 

ちなみに、卒業・進級ができなかった子、様々な事情で一度学校を離れた子、入学が遅れた子もいるため、同じ学年でも年齢にばらつきがあったりします。

私がいる学校(セカンダリースクール)にも27歳の生徒がいます。

 

改めてこのニュースから何がわかったかというと、

ウガンダは学校を卒業するために、試験に合格しないといけなくて大変ね、じゃなくて、

学校の卒業試験を受ける段階まで到達できる子たちがこれだけ少ないということ

 

おわりに

やっぱり100万人は少なすぎる。調べてみて比べてみて実感しました。

 

ウガンダでは国内トップの大学の就職率ですら20~30%くらいらしいです。仕事を探すのが大変な状況です。(日本のトップの大学群の就職率は80%前後)

履歴書にはPLE, UCE, UCAEの結果を書く…そんな中、学校を卒業できなかった人たちが手にできる仕事って・・・・。

 

UNEBに合格して、大学に行くことだけがすべてではないと思います。

大学に行くことが難しい分、大事だし成功できる道と信じられていると思います。

 

日本ではここ数年で、大学に行かず、フリーランスになったりする人、ブロガーやYouTuberとして活躍する人たち、起業をする人たちが増えてきています。

必死に学費を払って、必死に勉強して、卒業しても就職口がないウガンダ。生き方・働き方の認識おいても、これまでの成功プロセスに捕らわれずLeap frog(蛙飛び)的なことがおこったりするのかなと思ったり。

 

※リープフロッグ型発展…技術などが段階を飛び越えて一気に進展する変化の形態

 ほそく(おまけ)

とある新聞には最後の方にこんなことが載ってました。(笑)

f:id:oochan-ug:20170808203948j:image

the above number of registered students excludes those who did not register because their head teachers disappeared with candidates' money.

上記人数には登録料(受験料)を校長先生に持ち逃げされ(て登録されなかっ)た生徒の数は含まれていません。 

 

 

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